『本屋さんでGO!』『春に嵐 本屋さんでGO!2』/角田緑

本屋さんでgo! (ジュネコミックス)

本屋さんでgo! (ジュネコミックス)

春に嵐 〈本屋さんでGO!2〉 (シャレードコミックス)

春に嵐 〈本屋さんでGO!2〉 (シャレードコミックス)

今日は角田緑(つのだ りょく)先生の作品に挑戦してみました。挿絵仕事ではたびたび拝見していましたが、きちんと漫画を読んだのは初めて。下克上特集で描いたという出版社営業×美形の書店員さんの年下攻ものの読みきり連作で、ごくごくスタンダードなストーリー展開をする正統派ボーイズラブ漫画です。というとありきたりな作品のようですが、これくらい絵柄に安定感があって、カップリングが正しくて(というか自分の好みに合って)、読んでいてほっとできる作品というのは、ありそうで実はなかなかないもの。
作者さんご本人が専業の漫画さんではなくいまも会社勤めをなさっているということで、作品にも地に足のついた感じがあります。そのためか、攻も一生懸命ながらも強引すぎずがむしゃらすぎずいい感じの年下攻に仕上がっており、仕事も精力的にこなしている雰囲気があって好感が持てます。

私がこの方の作品にものすごく好感を持ったポイントは、不器用な受たんが自分なりの言葉で、攻に対してきちんと自分の気持ちを口にした点であります。この作品の攻は営業マンであることもあってか、とても饒舌で愛情深くまっすぐな青年なので、たぶん放っておけば受たんはわざわざ自分の気持ちを相手に打ち明けずとも、攻が勝手にしゃべって解決してくれるんですよ。でもそこを敢えて受たんは自分から攻に謝りに行った。そして攻に対して、自分の気持ちを自分の言葉で話した。そしてそして、受たんからのリアクションがあって、二人はきちんと結ばれた。
うーんいい話じゃないですか。
ボーイズラブジャンルには、相手が強引であることを言い訳に、自分の気持ちから目をそらして逃げてばかりいる受たんがよくいるので、こういう頑張り屋さんの受たんには好感が持てます。あと、角田先生の描く受たんって、こう、眉根を寄せてものすごく切なそうな表情をするので、読んでると「わたしがなんとかしてあげなきゃ」という気持ちになります。

ところで、P125の攻のPPC高橋の台詞「高橋さん」は「佐藤さん」の間違いですよね? 重版分からはきちんと訂正してほしいです。素敵なホモ漫画だったので、重版かかるといいなぁ……。