『男が男を愛する時』/新田祐克

男が男を愛する時 (花音コミックス)

男が男を愛する時 (花音コミックス)

やおいっ娘であることをひた隠しにして生きている私にとって、居間に置きっぱなしにしてはならない漫画ナンバーワンである。他の漫画ならごまかせるかもしれないけれが、このタイトルはごまかしがきかない。どう解釈しても男が男を愛する漫画以外の何物でもない。このタイトルに加えて、アニキ独特の濃厚な色合いの絵柄を見られた日には、もはや何も言い訳はできない。どうせホモスキーとバレるなら、初期門地っちや依田沙江美てんてーあたりのリリカルな画風の漫画でバレたいものである。

それにしてもこの漫画おもしれーーーーー!!!!!!!!!
なんて面白いホスト漫画なんだろう。濡れ場さえなければ家族にも読ませたいくらい面白い。世間では今更ホストブームが来ているようだけど、新田アニキはもう何年も前からホスト漫画を描いていたんだぜ!ホスト界の超パイオニア的存在・新田祐克。少なくとも私の心にホストブームの火を付けたのはこの漫画です。ドラマでもドキュメンタリーでも「ホスト」と冠されていれば何でも興味津々に見るようになってしまったのは、確実にこの漫画の影響。そんなに面白いのになぜ星4つなのかというと、この作品に星5つを付けると、このシリーズの他の作品に星10個を付けなくてはならなくなってしまうからだ。シリーズ内の相対評価として星4つで行かせていただく。

男が男を愛する時シリーズといえば鷹秋亮なわけですが、正直ね、娼婦系の受って苦手なんですよ。受たんには「俺は男に抱かれる趣味はない。こいつだから抱かれたいんだ!」という心意気で生きていて欲しいし、攻様にも「俺は男が好きなわけじゃない。こいつだから発情するんだ!」くらい飛ばして生きて欲しいんです。でもこの作品の鷹秋は何人の男と寝ようとも無問題、全く気にならない。それはきっと鷹秋が男に抱かれる時に、これでもかってくらい明確な理由付けがあるからだと思うんですよ。新田アニキの代表作『春を抱いていた』の魅力は非常に論理立った必然性があることだと思うのですが、その圧倒的な必然性が初単行本(しょっぱなから真っ向勝負にも程があるタイトルだな)の今作で既にあるというのは恐ろしいことです。初単行本にして、既に漂う王者の風格。絵柄は流石に変わったけど、自画像とか今と変わってないしな。揺るがなすぎ。祐克、恐ろしい子……!あとがきに本仁戻先生が岩城さんのイラストを寄せているのも興味深い。しかもなかなか共感できるコメント付き。本仁先生って他人を褒めるイメージがないので新鮮でした。アニキの交友範囲って太平洋のごとく広そう。

この漫画、タイトルもイカしてるが、収録作のそれぞれのサブタイトルもなかなか。

  • A HUNT FOR THE FREE
  • A HUNT FOR THE EXS
  • A HUNT FOR THE TRUE
  • A HUNT FOR THE PASSION

「HUNT」という言葉だけでも結構攻めてるのに、「PASSION」って!かっけーーー!!やっぱりアニキは世界一だぜ。『ウブ』の発売が今から楽しみでしょうがない今日この頃なのであった。(はまぞうくんで『ウブ』を検索すると、検索結果画面には書影が出るけど、日記に挿入すると出なくなっちゃうのね。書影出るなら貼りたかった。)