『もうひとつのドア』/月村奎
- 作者: 月村奎,黒江ノリコ
- 出版社/メーカー: 新書館
- 発売日: 2001/12/07
- メディア: 文庫
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月村先生の作品の受たんがトラウマもちなのはいつものことですが、このお話の受たんのそれは特別ヘビーだった気がする。そして攻の方にもけっこう深刻なこころの傷があるんだよね。受攻両方にトラウマちっくエピソードがあると、むしろ相殺されてお話としてちょうどいいのかも……なんてことはないだろうな……。まぁいいや。
とにかくこの話は私のお気に入りなのです。なぜかと言うと、月村先生作品にしては珍しく攻の方から告白しているからなのです。私は常に「アクションは攻からおこすべき」と主張し続けている女のですが、月村先生作品の受たんは臆病でペシミストなくせに、というより極端に臆病でペシミストであるがゆえに、崖から飛び降りる自殺者ばりの諦念とともに自分から攻に告白してしまうことが多く、なんとなく私には不満だったのれす。やっぱり攻からの告白っていいですね。しかもシチュエーションは雨ときたよ。このお話の攻はぶっきらぼうに優しくて、結構言うべきことはきっちり言ってくれる人でとても良かった。しかもとてもいいパパだし。
この挿絵を描いておられる黒江ノリコ先生って、藍川さとる先生のBL関係作品専用のペンネームなんでしたっけ。いまも挿絵を描いておられるのかしら。全然詳しく知らないのですけれど、月村先生とはなかなか相性がよいのではないでしょうか。線に無駄がなくて画面がとても綺麗。スケッチブックを持った攻が受たんをおんぶするところの挿絵以外はみんな好きかな。あのおんぶは無理がある気がするのよねー。スケッチブックはおんぶされる受たんが持つべきもののような気がするの。本文がそうなっていたんでしたっけ?あれれ?
そもそもなんで私はいまごろこの作品の感想を書いているんだ…。何をきっかけにこの作品を読み返そうと思ったのか…。自分でも謎っす。