『エス』/英田サキ

エス (SHYノベルス)

エス (SHYノベルス)

英田で「あいだ」と読むのか。確かに変換できるわ。へ〜。
そんなことよりちょっと奥さん、奥付を見てくださいまし。なんと!「参考文献」が!書いてあるゥ!!確かにきちんと調べて書いたことが伝わってくる内容だったのですが、参考文献を挙げていたことにより好感度が3割アップ。当たり前のことだけど、BL界ではあまりお目にかかれない類の当たり前さだったので(BLじゃなくても漫画ではあまりお目にかかれない気がする。あってしかるべきだとおもうのだが)、小生不覚にも感激してしまいました。
というわけで、今めちゃくちゃ売れてる作品ですよね。流行に乗って買ってみましたが面白かった!先日読んだ久能千明先生の『グレイ・ゾーン』と少し印象がかぶりましたが、こちらの方が文章が硬質で地に足のついている感じ。「エス」というのは要するに「スパイ」のことで、警察が情報を得るために取り込んだ暴力団関係の内通者のことです。お互い情報を与え合うギブアンドテイクの関係で、刑事としてまあ色々と複雑になることも多いお仕事みたいです。この設定はまったくの創作なのですが、しっかりと書き込んであるので違和感なく読めます。作者の力量がうかがえますな。
受たんも男らしくてよかった。「俺のものになれ」と言っちゃう受たん、いいじゃない。そうなんだよ。受といえども男なんだからそのくらい言って欲しいんだよ。ただお初の時はもう少し恥じらいがあってもよかったような……。それも男らしさの発露と思えば問題なしか。話としては面白かったんだけど、いまいち濡れ場にエロさがない気がするのはなぜだろう?
そういえばこの本、重版に乱丁があった模様。こちら大洋図書の公式サイトで、トップにお詫びがあります。私が買ったのも重版だったのですが、幸い問題はなかった……と思います。本当に大丈夫なのか気になるから何ページあたりにあったのか書いておいて欲しいわ。白いページがすべて疑わしく見えるよ。でもこれよりサイトにある新田祐克アニキのミスの方がひどいと思う。写植がまるまる1ページ分抜けるだなんて、言葉のぶつかり合いが熱い新田アニキの作品では特に許されないミスだろう。これは別に会話シーンではないけど、それなりに重要なシーンっぽいし。大洋図書がんばれ。