『DOGLA+MAGLA』/寿たらこ

Dogla + Magla (ビーボーイコミックス)

Dogla + Magla (ビーボーイコミックス)

敢えてカテゴリー分けをするならば「近未来的宗教的SFチックボーイズラブ」というところだろうか。初出がZEROだからボーイズラブではないのかもしれないが、まあこれはボーイズラブと言ってしまっていい気がする。普通にビーボーイコミックスから出ているし。ボーイズラブ界には「とりあえず男同士がどうにかなってれば、あとはSFだろうがハードボイルドだろうが、何でもよし!」という気風の良さがあるから好きだ。
とにかくなんかすごい話だった。寿たらこ先生の脳内を一度覗いてみたいのだが、きっと凄まじく理系でハードボイルドな世界から「尻掘れわんわん」的なイカれたショタワールドまで色とりどりの部屋が数限りなく並んでいて、私なんかが迷い込んだら30分くらいで発狂しそうになるのであろう。
表題作の「DOGLA+MAGLA」に出てくる細胞の話って要するに最近話題だったES細胞のことだよね?え、違う?俺様、文系だからよくわかんねーけど。こんなことになるのならES細胞は捏造でよかったね……と頭の悪い感想しか出てきませんでした。なんかもう軽軽しく「萌え〜」とか言えない世界なんだよ。これ読んでどうしろっつーのよ。いや、面白かったんだけど。でも「萌え〜」とか言えないから星は3つだ。ただ寿たらこ先生って多分ハッピーエンド主義者ですよね。そういう意味では安心して読めるっちゃ読める。
そういえば私は以前から「少女漫画における『双子』というモチーフの描かれ方」に興味があるのだが、「クローン」というモチーフは「双子」というモチーフの進化形だと思う。大体「双子」に囚われている人は「クローン」にも手を出すのよ。萩尾望都大先生しかり清水玲子先生しかり。寿たらこ先生も双子ものや兄弟ものをよく描いているし(この単行本に収録されている「アダムの大罪」も双子ものだ)、今作で「クローン」もやっちゃったので、きっと「双子」に囚われているお方なのであろう。「少女漫画における『双子』というモチーフの描かれ方」と「ボーイズラブについて」を絡めて考えるととても興味深い結論が導き出される気がするので、誰か暇な方は考えてみて下さい。