『花というよりもキス』/猫田リコ

花というよりもキス (バンブー・コミックス 麗人セレクション)

花というよりもキス (バンブー・コミックス 麗人セレクション)

おいどんの記念すべき猫田リコ先生初挑戦作品。面白かった。カバーの色とフォントが絵柄の雰囲気に合っていてよいですね。バンブーらしくない愛らしさ、品のよさだわと思ったら、実は帯をはずと結構きわどい絵だということがわかった。猫田先生の描く受、みんな脚きれいだよね。バンブーばんざい。バンブーのブーは鼻血ブーのブーだから。それが「ヤバいくらいにアダルト、痛いくらいにドラマチック」ということだろう?>バンブー

この単行本はすべて短篇で構成されているんだけど、私は基本的にボーイズラブ作品の場合は短篇がちょっぴり苦手である。一般的にボーイズラブの短篇は「受・攻ふたりの思いが通じ体をつなげるにいたるまで」が描かれることが多いのだけど、それを30ページあまりで描かれるとなんだかひどく性急な感じがしてしまうからだ。なので、この単行本に入ってるお話だと、そのパターンに当てはまらない「泣かないで、マスター」と「欲望25時」が好き。

「恐怖のにゃんこ屋敷」もかわいくてよい。もともと私は主役ふたりを第三者目線で描くというのに弱い。この場合は完全に猫の目を通して描かれていて、その一風変わった演出も作風にマッチしていて非常によし。

基本的に猫田リコ先生のコマ割りは断ち切りオンリーだと思っていたのだけど、そうでもないということがわかった。コマ同士にはすきまをあけた方が空間がなめらかにつながるし、読者も小説でいうところの「行間を読む」行為ができるから、いろいろとよい気がする。のだけど、この方のイラスト的な背景処理にはこの手法が合っているような気がする。

自分の常識と異なる手法が多々試みられており、新鮮な気持ちのまま読了した。不思議と好感の持てる一冊であった。「←BCG」というのに笑いました。