『ミスター・ロマンチストの恋』/砂原糖子

ミスター・ロマンチストの恋 (幻冬舎ルチル文庫)

ミスター・ロマンチストの恋 (幻冬舎ルチル文庫)

デビュー2作目の作品らしいのですが、今まで読んだ砂原作品の中で一番好きでした。ライトな文体で読みやすいし、受も攻も一生懸命でとても好感が持てます!でもこれは…若干、というか相当変化球なのではないでしょうか?

受の千野くんはまじめが服を着て歩いているような生徒会長さんです。シャイなせいで女の子には「クール」と思われ、勉強もスポーツもデキる長身の男前なのでめっぽうモテます。でも本質は見た目とは裏腹に、少女漫画大好き占い大好き、付き合い始めは公園で手をつないで、夕日の沈む海辺でそっとキスをする…そんな理想のデートが出来たらいいよねハァーンみたいなことを夢想している、まぁ、ぶっちゃけ変わり者、雄雄しいまでに乙女なわけです。彼の片想いの相手が後輩の有坂くんで、ひょんなきっかけから二人は距離を縮めていき、やがて攻の有坂くんも千野くんの不器用かつまっすぐな気持ちに惹かれて行き、二人は付き合うようになるんだけれど…!?

みたいなお話。まぁよくある話といえばそうなんだけど、受がガタイよくて普通に男らしい…という点で珍しいと思う。特に印象深かったのが、受が自分の持ち物的なブツ(?)のアレを「ボク大きいんだよね><」みたいな感じですごい気にしているシーンでした。珍しいですよね…。いや、たまにあるけど、たいてい、ボーイズラブって攻がKYOKONでテクニシャンで絶倫ですごいじゃないですか。別に大きさの問題をそこまで掘り下げる必要もないと思うんですけど、なんか妙に印象に残りました。ちんつぶを読んだあとだったせいですかね?なんか全体的にこんな感想ですみません。
かわいくていい話でした!!「おじいちゃんになってもずっと一緒にいよう」って甘い台詞をはく攻に、受たんが「鳥のつがいみたいに?」ってこれまた乙女発言を炸裂させるシーンがあるんですが、ここが可愛くていいのです。そこで「そうだね、鳥なら年をとってもずっとかわいいままだね」って自然に答えてあげる攻もカワイイし、「自分は恋愛に対して淡白なほう、ドライなほう」って思い込んでた攻の気持ちが、ロマンティストの受に影響されて変わっていってる(もしくは自分でも気づかなかった夢見がちな部分が掘り起こされた)んだなぁ…っていうのが自然にわかる会話で、とてもよかったです。