『蒼い海に秘めた恋』/六青みつみ

蒼い海に秘めた恋 (ガッシュ文庫)

蒼い海に秘めた恋 (ガッシュ文庫)

六青先生、四冊目。こちらもファンタジー。面白かった。
最初、この攻が受たんをあっさり受け入れすぎたことがちょっと気に食わなかった。いくら作品世界では女性が男の十分の一の人口で、男同士の恋愛が受け入れられやすいという土壌があるからといって、二十一にもなった無関係の家出男児を、ああもあっさり生活空間に迎え入れる、というのがね〜。いくらかわいこちゃんだからといってね〜。ピンとこなかったのです。でもこれはしょうがないのかな。受が身寄りもなくエリィ以外頼る人がいなかった、というのが設定のポイントだから。あらかじめ攻と受の間につながりを作っておくわけにはいかなかった、という。

それにしても、この話の受もかわいそうだった…。ちょっと卑屈になりすぎな気もしたけど。最終的にハッピーエンドにしてくれるだろうなーっていう安心感があるから、思う存分「かわいそうがれる」という、非常に快適な読書が楽しめます。終わりのわかる物語なんてつまんないって?ノンノン、六青先生の書かれるお約束はサイコーです。


藤たまきさんの挿絵が透明感に溢れていて素晴らしかった。この物語に合ってる。億が一この小説の挿絵が、てゆうか新田祐克先生だったら…。きっと全然違う雰囲気になっていたんだろうな〜。藤たまき先生は、髪が長く女子のようにカワイイこの受も、裸の腕は比較的しっかり目に描いていたところが好感度大です。